

ヘテロトピア集
著者:管啓次郎
頁数:232頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-910108-18-6 C0093
装丁:著者自装(協力=戸塚泰雄)
2024年11月20日発売
詩人・エッセイスト・翻訳家であり、日本文学最高の文章家の一人とも言われる管啓次郎、はじめての小説集。
未知の人生たち――。
ありそうでなさそうな、なさそうでありそうな……。
そんな時代と場所と人物が、まじわり、飛びこえ、
現代によみがえるもう一つの小さな世界。
異郷(ヘテロトピア)への旅物語。
この100 年の東京へのアジア系移民たちの物語をつむぐ巡礼型演劇作品「東京ヘテロトピア」(Port B)のために書かれた5篇にはじまり、北投(台湾)、ピレウス(ギリシャ)、リガ(ラトヴィア)、アブダビ(アラブ首長国連邦)、ヘルダーリンの小径(ドイツ)へ。中篇「三十三歳のジョバンニ」、対話劇「ヘンリと昌益」も併録。
【目次】
Ⅰ ヘテロトピア・テクスト集
言葉の母が見ていた(ショヒド・ミナール、東京)
神田神保町の清頭獅子頭(チンドゥンシーズートウ)(漢陽楼、東京)
本の目がきみを見ている、きみを誘う。旅に(東洋文庫、東京)
小麦の道をたどって(シルクロード・タリム、東京)
川のように流れる祈りの声(東京ジャーミィ、東京)
北投の病院で(北投、台湾)
北投、犬の記憶(北投、台湾)
ピレウス駅で(ピレウス、ギリシャ)
港のかもめ(リガ、ラトヴィア)
アブダビのバスターミナルで(アブダビ、アラブ首長国連邦)
パラドクスの川(ヘルダーリンの小径、ドイツ)
Ⅱ もっと遠いよそ
野原、海辺の野原
そこに寝そべっていなかった猫たち
偽史
三十三歳のジョバンニ
ヘンリと昌益
川が川に戻る最初の日
跋
【著者略歴】
管啓次郎(すがけいじろう)
1958年生まれ。詩人、比較文学研究者。明治大学理工学部教授(批評理論)。同大学院理工学研究科<総合芸術系>教授。1980年代にリオタール『こどもたちに語るポストモダン』、マトゥラーナとバレーラ『知恵の樹』の翻訳を発表(いずれも後に、ちくま学芸文庫)。以後、フランス語・スペイン語・英語からの翻訳者として活動すると同時に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』(いずれも河出文庫)などにまとめられる批評的紀行文・エッセーを執筆する。2011年、『斜線の旅』にて読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞。2010年の第一詩集『Agend’Ars』(左右社)以後、8冊の日本語詩集と1冊の英語詩集を刊行。20ヵ国以上の詩祭や大学で招待朗読をおこなってきた。2021年、多和田葉子ら14名による管啓次郎論を集めた論集 Wild Lines and Poetic Travels (Lexington Books) が出版された。東日本大震災以後、小説家の古川日出男らと朗読劇『銀河鉄道の夜』を制作し、現在も活動をつづけている。2023年、コトニ社から『本と貝殻 書評/読書論』と詩集『一週間、その他の小さな旅』を出版。