フェイクとの闘い
暗号学者が見た大戦からコロナ禍まで
辻井重男(著)
頁数:320頁
予価:2500円+税
ISBN:978-4-910108-06-3 C0004
装丁:西山孝司
2021年9月28日発売
暗号だけではソサエティ5.0は守れない
大本営発表と戦中知識人の認識への疑問。
情報セキュリティを巡る理念と現実の相克。
現代暗号学の第一人者による緊急提言!
サイバーセキュリティ、本人確認、ブロック・チェーン、暗号資産……。
軍事・外交の道具は、サイバー空間の基盤技術となった。
現代暗号の進化過程を駆け抜けた第一人者が、管理(management)、倫理(ethics)、法律(law)、技術(technology)を高度に均衡させた学際的かつ総合的視点から、理念による現実の最適化をさぐる。
【目次】
プロローグ――理念と現実
[加藤尚武編]辻井重男語録
第1章
太平洋戦争をはさんで
――暗号学者の小さな履歴書Ⅰ
第2章
戦時中の文化人の現実認識
対話篇1 天国からの恩師のご下問に応えて
――楕円曲線暗号から情報セキュリティ総合科学まで
第3章
サイバーセキュリティをめぐる活動
――暗号学者の小さな履歴書Ⅱ
第4章
情報社会のセキュリティと倫理の課題
対話篇2 天国からの恩師のご下問に応えて
――デジタル社会基盤としての暗号について
第5章
サイバーセキュリティの未来
資料篇
【著者】
辻井重男(ツジイ シゲオ)
1933年生まれ。専門は情報通信システム、暗号理論。1958年、東京工業大学卒業。1970年、工学博士。1979年、東京工業大学教授。1994年、中央大学教授。1996年、電子情報通信学会会⾧。1999年、中央大学研究開発機構機構⾧。2003年、日本学術会議会員。2004年、情報セキュリティ大学院大学初代学長。2004年、中央大学研究開発機構教授。2007年、日本ペンクラブ会員。2010年、マルチメディア振興センター理事⾧。2013年、放送セキュリティセンター理事⾧。2017年、セキュアIoTプラットフォーム協議会理事⾧。総務省電波監理審議会会⾧、総務省・内閣等の諸官庁における、電子署名法、住民基本台帳法等の多くの法制度創設に関する委員会委員⾧を歴任。瑞宝中綬章、NHK放送文化賞、C&C賞、高柳記念賞、信学会功績賞、IEEE第三千年記記念賞、全国発明表彰等を受賞。主な研究成果に、①日本初のデジタル伝送方式(PCM24チャンネル方式)の開発。②世界初のテレビ信号のデジタル方式の開発、カラーテレビのデジタル化で特許取得・発明表彰。③デジタルネットワークのグラフ理論的研究、電子情報通信学会論文賞受賞。④デジタル信号処理の先導的研究開始、電子情報通信学会論文賞2件受賞。1980年頃から現代暗号の研究を開始。⑤1985年、順序解法による多変数公開鍵暗号方式の提案。⑥楕円曲線暗号における理念と現実の完全な一致、新プラトン主義的確認。⑦デジタルセキュリティ総合科学構築と三止揚(MELT-UP)。⑧究極の本人確認のための3層型公開鍵暗号の提案。主な著書に、『情報社会・セキュリティ・倫理』(コロナ社)、『暗号と情報社会』(文藝春秋)、『暗号理論と楕円曲線』(共著、森北出版)、『暗号――情報セキュリティの技術と歴史』(講談社)など。